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ゴッホの「ドービニーの庭」の謎

 

絵画って時にその辿った運命から、またモナリザのように描かれている内容からいろんな謎解きの要素、楽しみ方もありますよね。

ゴッホの「ドービニーの庭」という絵をご存知ですか?

ゴッホ最晩年の秀作として世界的に知られた名画です。

作品としては きわめて大きい物ではありませんが 53.2×103.5㎝ の横長の作品ですが、バーゼル美術館とひろしま美術館の2作品描かれています。

画家の最後を飾る大作の一点とも言われている作品ですが、この作品で議論されてきたのが「黒猫」の謎です。

バーゼル美術館の「ドービニーの庭」には黒猫が描かれており、弟テオに宛てた書簡のスケッチにも黒猫は描かれていますが、ひろしま美術館の「ドービニーの庭」には、はっきりとは描かれてはおらず影のような形で残っています。

昨日、ひろしま美術館でこの2つの「ドービニーの庭」を観てきました。

2枚の「ドービニーの庭」ですが、おなじ庭ですが、若干タッチも色合いも構図も違っています。

解説には、最初にバーゼル美術館の「ドービニーの庭」を描いたあとに2枚目に、ひろしま美術館の「ドービニーの庭」を描き、完成したふたつの作品をみて、テオに宛てて書簡のスケッチを描いたのではないかと書いてありました。

そして、ひろしま美術館の「ドービニーの庭」を描いた10日後に、ゴッホは亡くなったと・・・

「黒猫はどちらの作品にも描かれておりゴッホの死後、第3者によって消されたのであった」と。

まさか・・・・

ゴッホがこのことを知ったら!

ゴッホの死後「ドービニーの庭」は、ドービニー夫人へ遺贈されました。それはゴッホの遺志でもあったようです。バーゼル作品に題名が書き込まれていることや、ふたつのキャンバスの状態からみて、ゴッホは、バーゼル作品をドービニー夫人に寄贈するつもりだったようですが、ゴッホの死後、弟テオによってバーゼル作品は残り、ひろしま作品がキャンバスに貼られて、ドービニー夫人へ渡ったのでした。

科学の発展に伴い、はるか昔に造られた絵の解析が可能になったんですね。

わずかに残された絵具から、X線画像からいろんなことがわかるようになってきました。