美術館の役割〜非常時事態宣言の中、考えてみました
近年、豪雨災害、地震、コロナと次から次へと・・・災害が続いています。
新型コロナの感染拡大の防衛として、各地域の公共施設が休館してしまいました。
多くの〇〇ホール、体育館、美術館、図書館等々。ネット対応ができるものに関しては、工夫を凝らして対応やサービス提供をしていらっしゃいます。
一定期間の休館を見越し、美術館では展示や作品をオンライン配信しているところもあり、個人的にはこのサービスってこのまま続けばいいのにと思っています。
そんななか、社会的存在としての美術館の役割や意義について考えて見ました。
美術館の基本的な役割
「収集・保管・研究・展示」と教育・普及や地域貢献
美術館は、皆さん美術好きの方が集まって世界のアートに触れる事ができる場所だと思います。
教育に於いても意義のある事だから、義務教育の中にも含まれているのだし、必要なものとして定義されているのでしょう。
独立行政法人国立美術館法や、全国美術館会議のHPを見たのですが、
美術館の役割は「収集・保管・研究・展示」という美術館内部での 業務内容について明記されています。
現代に於いては、各地に様々な美術館が 多様なコンセプトを持って建設されれています。美術館としての役割として現代に共通する基本的な言葉はないかと探したところ、東京都美術館の言葉から引用することにしました。
東京都美術館の使命
新しい東京都美術館は、「アートへの入口」となることを目指します。展覧会を鑑賞する、子供たちが訪れる、芸術家の卵が初めて出品する、障害を持つ人が何のためらいもなく来館できるすべての人に開かれた「アートへの入口」として生まれ変わります。
新しい価値観に触れ、自己を見つめ、世界との絆が深まる「創造と共生の場=アート・コミュニティ」を築き、「生きる糧としてのアート」と出会う場とします。そして、人びとの「心のゆたかさの拠り所」となることを目指して活動していきます。
東京都美術館HP 美術館概要 使命と4つの役割より
緊急事態宣言から徐々に自粛も緩和されていくことになります。
博物館や図書館、美術館に於いても、緩和されていくことになりました。
この事はとても良い事だと思います。
こういう施設は、人数制限さえすれば、基本的に人とお喋りする場所ではないですからね。
もちろん、衣食住があってのことなので、明日の生活に不安を抱える人達にとれば、「悠長に何を言ってるのか」。と思われると思いますが、世の中にはこういう`必要でないもの’が、生きる上で支えになっている方もたくさんいらっしゃるのです。
普段なら、興味を持たないような場所も、賑わう場所が開いてないなら、こういった場所に出かけてみてもいいかもしれないし、何より、現実世界とかけ離れた空間は、精神的に疲れた心を落ち着かせてくれます。
子供達も疲れ、親も疲れ、社会的不安が拡がる中
良い文化に触れる事は、心を別世界に飛ばせ落ち着かせてくれる
・・・・のではないでしょうか。
作家が情熱を込めた作品には、その力があるのだと思っています。
ぜひ、美術館へ訪れてみて下さい。
美術館の作品にも歴史があります。
作家達がその時代時代で、苦労して作り上げた物です。
一見、素晴らしい作品達ですが、迫害や戦争、差別、貧困、多くの苦難の中で制作された作品もあります。
ユダヤ人としてロシアに生まれたシャガールもそうでした。第一次大戦、ロシア革命、ナチスによるユダヤ人迫害で、亡命し、その後フランスに戻りオペラ座の天井画を制作しています。
作家達は 時代の流れから、或いは家庭、性差別、常識から自由になるために、その気持ちを作品に反映された方も少なくないです。
そういう作品の前で静かに鑑賞すると何か受けとるものがあるかもしれません。
ぜひ、作家や作品からのメッセージを受け取って下さいね。
誰でもできる鑑賞
作品の前に行き、ただ、見てください。
好き、嫌い、キレイ、面白い、だけで良いのです。
そしてあなたの好みや感想は、他の人と違って良いのです。
その後、お気に入りの作品の前で、情景やドラマを想像してみたり、人物が描かれていればその人になったつもりで 気持ちを想像してみたり…。そういったことが楽しめる空間なのです。
いっ時、あなたは作品の前でルノアールになったりミロになることが想像できる場所でもあります。
美術好きの方は、人と会話できなくても、美術館を訪れて作品との対話を楽しんでくださいね。