様々なマチエール

マチエールというのは、画面に様々な変化をつけて表すことです。

様々な表現方法がありますが、作家たちは自分の世界を表すためのひとつとして、画面上に他の作家とは区別をつける、あるいはどうしてもその表現が必要、という思いからか画面に工夫をする場合があります。

現代美術を見ていく中で、様々な表現が自由にされていることを知りました。

絵の具に別の素材を混ぜて特別な表現にする

現代でも色んな素材を混ぜて独特の表現を作られる方も多いですよね。

メディウム、砂、顔料。混ぜることに飽き足らずその先は、平面から立体~コラージュへ発展していく方もいらっしゃいます。そんな作品達を観ていると、ホント自由だなって思います。

その中から少しだけ紹介したいと思います。

絹谷幸二(1943~)・・・イタリア留学でフレスコ画を学び、その画面は、フラットですが絵具に細かい粒子が見られて、角度を変えるとキラキラと光って見えます。私の知識は印象派くらいから全く進んで無かったのですが、絹谷幸二の作品は平成の高校の美術の教科書に載っていました。

村上友晴(1938~)・・・彼は絵の具に木炭を削った物を練り混ぜて、ペインティングナイフを使って丁寧に画布上に載せていき黒一色の作品を造って行ったことで知られています。元々墨に興味を持ち、芸大では日本画を専攻したのですが、卒業後は油彩を使った制作に切り替わっています。黒以外の作品もありますが、墨を練り込んだ黒は吸い込まれるような真っ黒の中、墨の粒子の違いによってライティングの光を反射しチラチラと光る部分が見受けられます。

岡崎乾二郎(1955~)・・・もともとは立体から始めた造形作家だからなのでしょうか、絵画?作品があるのですが、絵具が浮き上がるというか、画布上で、盛り上がったり跳ねたりしています。使われている絵の具はご自分で調合されていらっしゃるようで、透明なものから不透明な物を使い2枚の作品が対になるように製作されています。左右に並べられた2枚から同じ形や色を見て取るのはちょっとした楽しみでもあります。興味深いのは、作品に長い長い詩のような物語のようなタイトルが付けられていることです。

他にも、画面にワックスのようなものを置いたり、石膏を混ぜて製作されている作家や作品もあります。今まではあまり画面上をつぶさに見ることは無かったのですが、現代美術を観ていくうちにこうした表現にも気づくようになりました。