デパートのギャラリーには、どんな絵が並んでいるの?
絵を描いている方なら一度は、「画家になりたいなあ、なれたらいいなあ」なんて思い描いたことがあるのではないでしょうか?
私も妄想逞しく、「もしこの絵が何10万で売れたらいいなあ~」なんて思ったこともあります。
世界的に有名なアーティストの作品なんてとんでもない価格で取引されて話題になっていますから。
では、どんな絵が日本では好まれるんでしょうか?
仕事帰りにデパートのギャラリーへ寄ってみました・・・
そこに展示されていたのは、
・花の絵
・愛らしい動物の絵、
・美しい風景画
・花や風景、または動物と風景、花と動物を組み合わせたもの
・色調は明るめ
・雰囲気は奇抜でない、ファンタジーなものから優美なものまで
・小さいものだと0号以下の10㎝角くらいの油絵から大きい物だと、15号あるかないかくらい、すべてジークレーという複製画です
・価格帯は5000円から20万くらいのもの。
・刷数は70~200枚
お祝に贈り物としてつかわれることが多いらしい。・・・なるほどなあ。
人様への贈り物なら、飾りやすい一般に美しい物が無難ですものね。
小さい物は、2,3個買って並べたりすると可愛いし、飾りやすいしお部屋に合わせてアレンジがききそうですね。
自分で買うにしては、ちょっと贅沢なのか・・・好きな方は購入されるでしょうが、洋服に3,4万出せても、自分のために絵画に出費する習慣や趣味は一般的じゃないのでしょう。絵画を趣味にされる方は○○展という時に来店されて購入されるのでしょうね。
通常販売されているものは、求めやすい価格帯になっていました。
ギャラリーの知り合いが、「昔は季節に応じて床の間の掛け軸を変えてたけど、今は床の間のある家は少なくなったし、壁には季節感がないものをずっと掛けておくからね~」なんて言っていました。
絵画が趣味、美術館での絵画鑑賞を趣味にされてる方でも、「自宅の壁に飾るスペースがなかなかなくって~」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
ですよね~。うちも子供が小さい頃は子供の絵を壁一面に貼ってました!笑。
お?子供が描いたような絵もポップで意外とイイかも知んない!季節感ないし、笑、年中飾りっぱなしで行けるじゃん。なんて・・家族としては愛情を感じますが・・
やはり自分が描いたものを第3者の方が気に入って購入して下さる・・・というのは夢ではないでしょうか。
趣味で描いてるうちは、「自分が描きたいものを描きたい」「相手に合わせて描くのはどうも苦手」と言えます。私もその一人だったので、だらだらと自分の空いた時間で描いていました。
描いた絵で収入を得たいなら、仕事として作品を造る、意識を変えることがプロなのかもしれません。
作品のギャラリー展示
春の日、陽射しもきつくなり、野原には、たくさんのたんぽぽが見られるようになりました。
緑の原っぱに黄色のたんぽぽが、あまり可愛かったので、それをパステルで絵に仕上げたのです。
娘がたんぽぽの絵を気にいってくれて、「じゃあ、あげるね」と言って、それは娘の絵になりました。
身内でも気にいってくれるというのは、嬉しいものです。
その後、ギャラリーで展示をさせていただく機会があってその時に、「たんぽぽ」も売るつもりはなかったのですが、作品が間に合わず、場を埋めるための展示だけしたんですね。そしたら、その「たんぽぽ」を気にいっていただいたお客様がいらっしゃって、ギャラリーから連絡があったのですが、原画でしたので、売らなかったんです。
「また描けばいいじゃん」とギャラリーの友人に言われたのですが、その頃の私には同じような絵を同じテンションで描く自信がなかったんです。とっても気持ちが入っていた絵なので、どうしても違う絵になってしまうんじゃないかという自信のなさが売却をお断りした正直なところでした。
まだ趣味で描いていたんですね。いまならお客様に合わせて描き上げる努力をしたと思います。
その展示の時に感じたのが、自分が思い入れのある絵、とことん描き上げた絵ってやはり他の方にも伝わるんじゃないか?ってことです。自分がイイと思った作品は、お客様も良いと思ってくれて、いい加減に描いた、適当に?仕上げた絵はやはり観る方も何も感じないのかもしれません。
その時のことは、大変勉強になりました。
その時の作家紹介ハガキにパステルの花の絵をプリントしたのですが、一人で何枚かお持ち帰るお客様がいらっしゃったそうです。
モネのジヴェルニーの睡蓮、ルーアン大聖堂の時間帯による連作は、その熱量が伝わってくるようです。その魅力を伝えるのにはたった一枚では足りなくって何枚も何度もキャンバスに向かったのでしょう。
モチーフとして魅力的な物は、画家に何度もキャンバスに向かうエネルギーをくれるのでしょうか。
何度も描くうちに自分の作品、最高の物が生まれるのかもしれません。常に最高を目指しながら。
美術館での鑑賞の参考に
初めて行かれる方、何度も行かれている方、それぞれだと思います。
何度も行かれた方には、アドバイスは必要ないかも知れませんが、初めて行かれる方・・・
いえいえ、成人になられても「美術館初めてなんで~」と言われる方も多いのです。
そんな方に、アドバイスを
まず、はじめに「美術館は恐くない」です。
高名な画家の絵がかかっていて、監視の人がいて、警備員がいて・・・恐いと「敷居が高い!」と思っていらっしゃるかも知れませんが、恐くないです。
よほどのマナー違反をしない限り警備員は飛んできませんし、監視員も注意しません。
気楽に、散歩に来たつもりで作品を眺めながら歩きましょう。
そして、服装も自由です。
海外の方など夏は、ビーサン、短パンTシャツで来られますよ。逆におしゃれをしてくるのもOKです。
現在では小学生なども、課外授業で美術館を訪れています。
それでは、行きたい美術館、展示を探してみましょう。
○初めて行くなら、興味のある作品展へ
彼、彼女が好きそうな展示でも良いのですが・・・興味が湧かないと面白くないでしょう。
たまに、男女で来られて明らかに片方の人が時間を持て余してるようなしぐさを見てしまうと苦笑しそうになりますが。どちらかが興味あれば、その人に解説をお願いしてもらっても良いとは思いますが、入り口でオーディオガイドを貸出し(多くは有料だけど)ている場合は、借りましょう。
知ってるつもりでも知らなかったことを教えてくれますし、作品や作家の成り立ちについてもよくわかります。
○混んでたらすっ飛ばして自分の目を惹いた作品へ
二人で来た場合は、二人で人の流れに沿って観ることになると思いますが、相手が気にしなければ、自分の好きな作品の前へ先に行ってもいいです。
多くの作品展示がされているなか、順番通りに、人の進むスピードと同じに歩いていると好きな作品の前でもゆっくり立ち止まれません。せっかく来たのなら好きな作品に時間をかけて観たくないですか?最初は人に合わせて移動して、疲れたらソファに座ってゆっくり観る。ソファにその展示の図録などが置いてあれば最高で、作品と照らし合わせて贅沢な時間を過ごせます。
○どこに惹かれたのかを見つめる
何を面白いと思ったのか、どこが好きなのか、ゆっくり遠目から、それから近くによって確認してみる。
○作者、作品に想いを馳せる
どんな時にどんな感情で、描いたんだろう。
何が言いたかったんだろう、伝えたかったことは何?・・と考えてみる。
そうすることで作品がより心に残ります。
○ギャラリートークに参加してみる
学芸員の解説がある日に行くと、専門の学芸員が説明してくれるので、非常に良いです。
ただ、日程・時間が決まっているので、これはHPなどで調べて日程が合えばの話ですが。
展示にちなんだゲストをお迎えしてのトークもありますので、こちらもお薦めです。
展示が現代美術の場合などは、作家に会える可能性もありますからね。(作家来館トークは事前予約だと思われます)
2回目からは
事前にどこでどのような作品展をやっているか調べて行きましょう。
都会ではどこかしら常に企画展をしています。
地方に住んでいたらその都市、地元の特色を持った美術館が存在します。
中央都市では収蔵されていない地元出身や縁のある作家の作品が観られますので、それはそれで
地域の歴史を知ることにつながりますので、有意義な時間を過ごせるのではないでしょうか。
ぜひ、気軽に美術館を楽しんでくださいね。
美術館の楽しみ方って展示物だけではありません
「企画展に並ぶだけじゃない」
美術館って、○○展が来た!とか○○作品展示、という時にだけ、行くだけじゃあ、もったいない!もっと身近に楽しみましょう!
建築物としての魅力
作品に興味なくても建築好きなら外観を楽しむ。外観や野外の彫刻なら鑑賞無料。
お庭などお弁当持参で、四季折々楽しめる。散歩がてら楽しめます。
美術館は一般住宅とは違い有名な建築家の設計や歴史的に貴重な建物の価値もあります。
例えば、有名なところでは、東京上野の国立西洋美術館は、フランス人建築家ル・コルビュジェによる設計で1959年に竣工された歴史的建造物で、2007年に国の重要文化財に指定されています。京都の文化博物館も別館が重要文化財の指定をされていますし・・ル・コルビュジェとは趣がちがい近代洋風建築で歴史に思いを馳せる時間を過ごせます。
1人でも他の人と一緒でも楽しめる
一人なら自分のペースでゆっくり回れる。順番抜かしもOK
他の誰かと回るなら自分以外の見方を知ることができたり、共感を分かち合えます
大人も子供も年代を問わず共通の作品を通して会話が楽しめるでしょう。
ワークショップに参加する
ワークショップをチェックして気になっていたものに参加してみましょう。
ワークショップは、大人対象、子供向けと各美術館で工夫されています。
子供のためのワークショップは無料のところもあるので夏休みや冬休み、親子で参加し会話を広げてみてはいかがですか。
ミュージアムショップ
おしゃれ(で、ちょっと高価)な雑貨があります。
普通のお店では扱ってないような小粋な雑貨、アーティストのモチーフが入った物とか美術館ならではの小物、また専門書に近いような関連書籍等があり、アート好きの方へのプレゼントにも最適。人とは違ったプレゼントで印象に残ること間違いありません。
図書コーナー
併設があれば、美術関連、芸術関連書籍が、ただで閲覧できます。普通の本屋さんなどは売れ筋しか置いてないし芸術関連の本を置いてある本屋が少ないので(あっても、高額本はきっちりカバーがして中身が見られないようになってることも)これは便利、調べものに最適!
芸術、写真、美術書は高額だし、売ってないような図録とか専門書とか閲覧できます。
ランチ・ティータイム
美術館内のカフェはおしゃれな気分に浸れます。
たいてい、ゆったりとした空間、庭を眺められるような位置にあることが多く、1000円くらいでゆっくりリッチな気分を味わえます。2時間くらいいても平気。誰も何とも気にしません。
館内だけでなく、企画展が催される時などは、付近のカフェとコラボして作家や作品にちなんだ期間限定デザートや料理が企画されたり美術館チケットで割引してもらえる時もあるので要チェックです。
展示作品を観に行くだけでなく、普段から散歩の途中で美術館に立ち寄る人って、なんかカッコイイ。お寺の近くの人がお寺に散歩に行くように、近所の方は美術館に散歩に行ってるんでしょうね、素敵。心に余裕を感じます。
初めて、油絵やアクリル画を描くのに何を揃えたらいいの?
美術に興味のある方は、高校生の時に美術の授業をとっていたかも知れませんが、大人になって、働く様になってから
何か、始めたいなあ〜
描いてみたいなあ
など思われた方もいらっしゃることと思います。
では、どんな道具?を揃えたら、準備したらいいのでしょう?
油絵、アクリル画を始めるためのの道具
必要な物は・・・・
・絵の具
・筆
・容器・溶剤
・パレット
・支持体
・そのほかに
最初は セット購入を勧めます。
まったく初めから始める場合は、大きい画材屋さんの油絵セットとか、アクリルセットをお勧めします。店舗がない場合は、ネットのセットでいいと思います。
その訳は、まずどのくらい続けるかどうかわからないし、セットだと個々に揃えるより割引です。
そして、ケースに、絵の具、筆が入っていて、油壺や筆洗器、パレットがついていると、あとはキャンバスなどを買えばすぐ始められます。
それから描き進めるうちに、好みで、筆や色を足していけばいいと思います。
絵の具
透明な色と不透明な色
12色セットと白色
一般的な12色セットに加えて白はよく使うので、別に大きめのチューブを買われるといいと思います。
その際どうせ買うなら、不透明なチタニウムホワイト、半透明なジンクホワイトがあると便利です。
絵の具は、それぞれ色によって透明度が高い色、不透明なものとあり、透明な物は上から塗った時に下地の色が透けて、不透明な色はその物の色をマットに乗せることができます。
透明度の高い物は、重ね塗りをした時に下の色が透けてきて不思議な効果が出ますし、逆に不透明な色は、下の色を隠して強い印象を与えます。
透明か不透明、半透明などの違いは、絵の具のチューブを見ると書いてあるのでそれでわかると思います。
メーカー
メーカーは、各メーカー販売されていますが、一般的にホルベインなどが、学校のセット教材などがあるので手に入り易いでしょう。
うちの子供達が、高校の選択授業で美術を洗濯したときは、上の子は、ホルベインのアクリラ12色セット、下の子はホルベインの油絵12色セットでした、笑。
その時の画材は、私が貰って使っています。
使っていくうちに、わかると思うのですが、絵の具はチューブから出したままの色と、薄めた時の色、白を混ぜた時の色とそれぞれ違うので色々試してみてくださいね。
これは、特に油絵具においてその差を感じます。
画材屋さんに行くと、絵具の前に薄めた色味表示とかがあるので、参考にしながら好みやモチーフに合わせて買い足すのも楽しいですね。
筆
油絵用とアクリル用は併用せずそれぞれ用意しなければいけません。
油絵で使用した筆は、水性のアクリルには使用できないのです。
種類
自分で揃えるなら、平筆(たいらで、毛先が直線的な四角いもの)、フィルバート(たいらですが毛先が丸くカーブを描いている)、丸筆の3種類で、大小2本ずつくらいあるといいですね。
素材
油彩用として置かれているのは、化繊から天然の毛の筆があります。
アクリル用として、画材屋さんで勧められるのは、化学繊維の筆だと思います。
それは、丈夫で安価で強いという理由からだと思います。
それぞれ毛の強さ、細さ、長さ、量と種類もたくさんあるので、モチーフ、描き方、大きさ、表現方法で順々に試してみてください。
容器・溶剤
油絵なら、絵具を薄めるペインティングオイル、筆を洗うクリーナー、それぞれを入れる油壺と筆洗器
アクリルなら、水を入れる筆洗容器があれば始められます。
ペインティングオイルは、オイルの種類によって乾燥具合が違うのですが、最初は調合油のペンティングオイルの微香タイプが使いやすいです。
パレット
紙パレットでじゅうぶんです。
今は、便利さで、紙パレットを使う方が多いのではないでしょうか。
支持体
何の上に描くかということです。
キャンバスや板が一般的でしょうが、それより手軽なキャンバスボードから初めてはどうでしょうか。厚紙にキャンバスを貼った物ですが、じゅうぶん強度はありますし、かさばらず、価格もお手頃です。
その他
ペインティングナイフやパレットナイフがあると便利です。
直接、ナイフで描いたり、パレットの上で絵具を混ぜるのに使いますが、絵の具はパレットで混ぜた方が綺麗に混ざりますし筆も傷みません。
また、ナイフで直接描くのも独特のタッチや線を表現するのに効果があります。
以上、簡単に必要な道具について説明させていただきましたが、お近くに画材屋があれば行って見ることをお勧めします。
絵が好きな方にとっては、画材屋さんはテーマパークの様な物ですものね。
出光真子「英雄ちゃん、ママよ」
「主婦の一日」と「英雄ちゃん、ママよ」という映像作品
この作品予告が流れた時、‘以前、観た’と確信したのに、どこでいつ見たのか思い出せずにいたのだけど、どうしても気になって調べてみると、2013年に東京森美術館で展示されていたのである。私は、この頃、草間彌生作品みたさに六本木の森美術館で開催の「LOVE」展を訪れたのだと思う。この前くらいから、草間彌生で盛り上がっていたから。
息子と一緒に観に行って、「意外と‘初音ミク’面白いね」、と言った記憶がある。
その時に、出光真子作品を見たのだと思う。
ただその時は、良く意味がわからずその映像は、忘れていたのだけど、「アカルイカテイ」予告映像で蘇ったのだ!
ものすごく変な感想を、違和感、を持ったのかもしれない。或いは恐怖かも。
「英雄ちゃんママよ」
息子が社会人となり、夫婦二人の家庭。
起床してから就寝まで母親がビデオの息子の映像に話しかけている、怖ろしい映像。
仕事中の息子に電話し、連休に帰って来ない旨を言われると「どうしてそんな子になったの?」と息子をなじる。挙句に夫にはお手伝いさんを雇い自分は息子が心配だからと息子のもとへ出掛けて行くシーンで映像は終わっていく。
私にも息子がいる。
出光真子自身も息子を生んでいる。自伝「ホワット・ア・うーまんめいど」の中で私自身にもそういう要素があったのかもしれないようなことを語っている。母親とはなんと怖ろしい生き物なんだろう。
彼女にとって息子達は手のかかる生き物で、当時自分の作品をつくりたかった彼女には焦りとジレンマがあったのに・・・。
これは、すべての母親には理解、共感でき、見たくない、普段は蓋をしている真実なのだろう。と思わずにいられないところが恐ろしくてたまらない、ゾクゾクしてしまう。
彼女はこの後、娘と母親をモチーフに映像をつくっている。
こわい。
ほんとうにコワイ。
息子と母も恐いけど、娘と母も恐い。
この問題は、現在もずっと引き継がれている。
家族は、良い面もあれば、それに縛られてしまう恐い面もあるのだということをあらためて感じてしまった。
「今晩何にする?昨日天ぷらだったから、今夜は豚鍋にでもしようかしら。あなた、豚しゃぶ好きだったわよね」
そのあと、小さく、「好きだった。・・・好きだった・・・」と表情のない顔でつぶやく。きっと彼女はきちんと現実を認識している。
認識しているけど、今の現実から逃避したいのだ。
彼女が怖すぎる。